マキャベリーーー

マキャベリの名著『君主論』読んでます。

君主論 (岩波文庫)

君主論 (岩波文庫)

いやー、感想は「難しい」の一言。

これからの私の人生に活かすために読んでいるんですが、まず読み手に分かりやすくて、かつイメージしやすくする目的で書かれたであろう、ふんだんな人物例からして分かりません!

当時のイタリア・フランス・スペインや古代ローマ史の情勢や人物(征服者、野望に失敗した領主、カリスマチェーザレ、戦争には勝っていたのに古代ローマに煮え湯を呑まされたピュロス王など)がたくさん例として挙げられています。

ローマ人の物語 (1) ローマは一日にして成らず

ローマ人の物語 (1) ローマは一日にして成らず

当時の人々には非常に分かりやすくて簡明な文章だったと思います。


現代日本の感覚ならば、安倍総理のこの政策はよくて、あれはダメだとか、民主党の下野した理由とか、徳川綱吉の前半の治世をべた褒めしつつ、生類憐みの令をこき下ろすとか、中国・韓国の政策論評とか、ロシアの強権を褒めるとか(マキャベリは強権が好きそうなので)、オバマ大統領の経済政策にチクリと物申すわけです。

そして上記の例から共通点する失敗点や成功者要因を挙げて、「ココを抑えてキミも理想の政治家になろう!」とかいうわけです。

それでその本が大大大ヒットをとばし、西暦2500年頃の我々の遠い子孫が「すごい本らしい!(^^)」とか「コレ読む自分てカコイイ!」とか思って手にしている状態です。


実際に、当時のイタリアでは、マキャベリが執筆途中の時から写本で広く流布し、かつ多くの人々から熱狂的に読まれていた君主論です。

写本で広まったので、現代に至るまで細部の言い回しが本当にその言い回しでOKなのか、論争が続いているそう(例:「あなた」と書いたのか、「あなた方」とマキャベリは書いたのか、、、。など。)。心の奥で「ど、どうでもいい。。。」と思いましたが、研究者になると大問題になるようです。


世界中の為政者に最も読まれている本だともいわれます。

しかし私がいるのは、この本が書かれた時代から500年後、しかも東アジア。

ほとんど例に挙げられている人物が分かりません。

イル・モーロって誰。サヴォナローラって誰。

一応、当時のダークサイド代表「チェーザレ・ボルジア」なんぞの人生や古代ローマ史を勉強してから読んでみたものの、勉強足らなかったみたいです。


どうでもいいけど、チェーザレ・ボルジアの、500年経ってもムンムンに漂ってくる色気はどうしたものか。。。

あんな男に会ってしまったら、きっと「愛人でもいいからそばにいたい!!!」と思ってしまうんでしょう。。。恐ろしい男だ。。。

チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷 (新潮文庫)

チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷 (新潮文庫)

感覚としては1500年代のイタリア地域における野心ありありな方々へ捧ぐ、自己啓発本といったところです。

「新しい領土に攻め入ってこれを手にいれたら、必ず前領主一族は根絶やしにすること」

とか恐ろしいことも、さらりと書いてあります。

しかし非常に勉強になる考え方ばかりなので、もう一回当時のことを前知識としていれてから読み直そう。

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余談ですが、マキャベリが『君主論』を執筆している際に、同時に執筆していたという、『ローマ史論』もおもしろそうです。共和制ローマについて批評を書いてるとのこと。

ローマ史論 (第1巻) (岩波文庫)

ローマ史論 (第1巻) (岩波文庫)


混乱する時代に揉まれて、人生のどん底に落ちた時に書いた著作達により、マキャベリは後世まで世界中に名を馳せます。

後にマキャベリは「自分は有能」アピールをしまくって、自分を人生のどん底に落とした張本人に雇ってもらいます。

なんて図太い!

・・・チェーザレ・ボルジアはすごく色っぽくてダークヒーローでかっこいいけど、図太い・しつこい・賢いの三拍子揃ったマキャベリもかっこいいと思います。